後鼻漏の原因と症状
8老人性鼻漏
鼻水がチョロチョロと止まらない。これは60歳代後半から急増する加齢に伴う鼻粘膜の機能低下が原因です。このように高齢者の長引く鼻水は「老人性鼻漏」の可能性があります。
老人性鼻漏の特徴
サラサラした(粘り気のほとんどない水のような)鼻水が出るが、くしゃみや鼻づまり、発熱などはありません。起床直後に鼻水がでて、鼻を数回かむだけで落ち着きます。
鼻粘膜の機能低下
鼻粘膜には温度を加えたり、蒸気を発する機能があります。また高温多湿な呼気を冷やし、呼気に含まれる水分を再吸収します。しかし、高齢になると鼻粘膜の機能は低下するので、呼気が鼻の穴の中を通る度に、以前は再吸収されていた水分が粘膜の上に凝集します。これが鼻水となります。
熱いものを食べたときの生理現象に似ている
たとえば、ラーメンやそば、うどんなど熱いものを食べたときに、鼻汁がでることと基本的に同様の現象です。熱い汁物を食べると、鼻の入口部分が高温多湿となりますので、(呼気内の)水蒸気を再吸収する機能の低下が原因で鼻水となります。このような理由から若い人たちでも老人性鼻漏と同じような現象を生じます。
老人性鼻漏の治療について
生理的な老化現象のひとつである老人性鼻漏ですが、抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイドでは効果がありません。長期化する鼻水をアレルギー性鼻炎とみなし、そういった薬を処方する医師も少なくありません。また風邪と似たような症状ですので、患者が自己判断し市販の風邪薬を漫然と服用している人もみられます。
こういった薬物療法は副作用の危険性もはらんでいます。鼻噴霧用ステロイドを長期間使い続けると鼻粘膜の萎縮が進行しかねません。また抗ヒスタミン薬は老人性鼻漏がヒスタミン受容体を介さないため効果を期待できません。